しずかな夜。ウェブの世界で働く仲間たちと、建築現場で働くニッシーが、久しぶりに和食屋さんに集まりました。むずかしそうな“ウェブの仕事”が、じつは身近なことばかり——という一夜のお話です。

路地の奥にある、小さな和食屋さん。障子をあけると、畳のいい匂いと、あたたかい灯りがむかえてくれました。
「いやー、みんな久しぶりやなあ! 元気にしてた?」手をあげて笑ったのは、山くん。中学のころ、いつもいっしょに帰った仲間です。
ニッシー、山くん、ケイちゃん、モエモエ。この四人がそろうのは、ほんまに何年ぶりでしょう。
「変わってへんなあ、みんな。」ニッシーは、うれしくて、ちょっと照れくさそう。まずはビールで、かんぱい。刺身に、天ぷらに、焼き魚。ごちそうを前に、話は自然と「最近どうしてるん?」になっていきました。

最初は、ケイちゃん。
「うちな、ウェブデザイナーしてるねん。お店のホームページを作る仕事。」そう言って、ノートパソコンを机において見せてくれました。画面には、あたたかい色あいの、小さなカフェのページ。
「このカフェな、ええお店やのに、場所がわかりにくうて、お客さんが少なかってん。せやから、お店の雰囲気とか、地図とか、メニューを、ぜんぶ見やすう並べてあげてん。」
「そしたら?」
「『ホームページ見て来ました』ってお客さんが、だんだん増えたって。あれは、ほんまにうれしかったわあ。」
ケイちゃんの作るページは、ただきれいなだけやありません。お店のよさが、ちゃんと伝わるように作られています。

次は、モエモエ。まる眼鏡の奥の目を、きらきらさせて。
「うちはな、インスタの発信を、まるごとおてつだいする仕事。」そう言って、スマホの画面を見せてくれました。ちいさな写真が、きれいに並んでいます。
「お店の人な、写真は撮れても、『どう続けたらええか』でつまずかはるねん。毎日なにを載せる? どんな言葉をそえる?——それをいっしょに考えて、お店の“らしさ”を育てていくの。」
「へえ〜。ただ写真をあげるだけ、ちゃうんやな。」ニッシーは、感心しきり。
「うん。“伝わりかた”を、デザインする感じかな。」

そして、ニッシーの番。
「俺は……建築現場で働いてんねん。毎日、汗だくで、くたくたや。」
正直、みんなの“ウェブのお仕事”の話は、ちょっとまぶしく聞こえます。
「でもな、」とニッシーは、古いノートパソコンを開きました。「最近、こういう“アニメみたいな絵”のウェブページを、自分で作りはじめてん。」画面には、たどたどしいけれど、あたたかい手作りのページ。
「うまくはないで。でも、作るのはなんや楽しいねん。」その言葉に、三人は、やさしくうなずきました。
話しているうちに、ニッシーは、前から気になっていたことを聞いてみました。
「そういえば山くん。ウェブマーケットの“調査”って、いったい何してるん? むずかしそうで、俺、ぜんぜんイメージわかへんねん。」

言いながら、ニッシーの頭に、むかしの夏がよみがえります。
高校生のころ。道路のすみに立って、通る車を「カチッ、カチッ」とカウンターで数える、暑いアルバイト。
「あ……。俺、昔、道でひたすら車の数を数えるバイトしたことあるわ。あれ、地味やったなあ。」

それを聞いて、山くんは、ぱっと顔を明るくして、大きく笑いました。
「あー! それと一緒やん。それの“ウェブ版”やねん。ははは!」山くんは、パソコンの画面を見せてくれました。折れ線グラフと、棒グラフ。
「道で車を数えるのとおんなじ。ネットの世界で、『何人が来て、どのページを見て、どこで帰ったか』——それを、ひたすら数えてるだけやねん。」
「その数字を見たら、『この入口がわかりにくいんかな』とか、『この写真が人気やな』とか、お店の“次の一手”が見えてくるんや。」
「へえ〜……。」ニッシーは、目をぱちくり。
「むずかしいwebの話やと思てたけど、やってることは、昔ながらの“地道な数えごと”なんやな。」
「そうそう。場所が、道からネットに変わっただけ。中身は、そんなにこわいもんちゃうねん。」ニッシーの肩から、すっと力がぬけました。ウェブの世界が、急にちょっと、身近に感じられます。

「なあ山くん。俺みたいなド素人でも、そういうの、ほんまにできるようになるんかな。」
「なるやろ。今はな、」山くんは、にやりと笑いました。「“Claude Code”っていうAIが、横についてくれる時代やねん。俺らの仕事も、前よりずっと、身近になってんで。」
「Claude Code……」ニッシーは、頬づえをついて考えこみました。頭の上には、大きな「?」。
——でも、その「?」は、こわさやなくて、わくわくの「?」でした。
今日のまとめ
- ウェブの仕事も、もとは「ホームページ作り」「発信のくふう」「地道な数えごと」——身近なことの集まり。
- むずかしそうな言葉も、昔の経験にたとえると、すっと分かる。
- 「別世界」と思っていたことも、案外、すぐとなりにある。
次回、ニッシーは、Claude Code に出会うことになります。


















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